スマートIOT推進フォーラム総会2019に参加してきました

スマートIOT推進フォーラム総会(午前)とIoT国際シンポジウム(午後)に参加してきました。

2500社が参加する日本のIoTの情報収集や活動推進を行っているフォーラムで、総務省を中心に活動しているようです。

総務省佐藤副大臣、吉田戦略局長の挨拶から始まり、各フォーラムの代表の大学教授などからの活動報告や企業からのIoT導入事例などの報告が行われました。

日本とドイツで協力してIoT、AI、G5などの推進を行うハノーバー宣言(?)調印を受けて、総務省の吉田戦略局長も佐藤副大臣も、「G20でIoT、AI、5Gを日本から発信する」ことに力を入れている感じで、インダストリアル4.0、ソサイエティ5.0というキーワードも出てきていました。

ただ、今回の総会でのキーワードは

  • 価値創造
  • 「ものづくり」から「ことづくり」

の2つ。

「ことづくり」とは実用的な運用提案と一緒に(製品ではなく)サービスを作る(売る)ことで、IoT、AIを使ったビジネスを考案、実現している事例がいくつも出てきました。

国や各業界のIoTに対する真剣さ、かなり刺激を受ける内容でした。

導入事例:ボクシーズ株式会社

ベンチャーということもあってアグレッシブにIoTの提案を業界を問わず動いている会社の事例紹介でした。
特にロケーションIoTを使ったサービスの紹介はいろんな可能性を感じました。

0秒注文、0秒清算

喫茶店のテーブルで場所を示す電波を出し、アプリで入店前に注文し、席に着いたときにスマホで自動的に注文、清算されるというサービス。
東京オリンピックの混雑解消サービスとして注目されているそうです。

製造現場での点検作業効率化

点検が必要な設備(機械)に近づくと点検画面が自動的に表示され、ペン入力と写真で報告書を作成するシステムが紹介されていました。

フォーラム活動報告

IoT資格試験やハッカソン、講演会などの説明がありましたが、IoTシステムの導入なども行っているということでした。

中でも気になったのがIoTを使用した洋上ブイ
ブイ(海の上で浮かんでいるプラスチック製の丸いやつ)にセンサーをつけ、魚の動きをデータ化することで出航まえにどこに魚がいるかわかるようになるそうです。
今まで、船で出向いて魚群探知機で探していたものが、船に乗る前に魚の居場所がわかるってすごいですね。

これにより漁獲量が70%アップしたそうです。驚異的。
ガソリン代も節約できていると思うので、相当な効果だったと思います。

インダストリアル4.0

ドイツのAndreas Dengel氏(ドイツ人工知能研究所(DFKI)教授) が現在のインダストリアル4.0の近況などを紹介してくれました。

  • ドイツで作られたものを船便で輸送することをやめてインターネットを使用することで、輸出先の国でドイツと同じ生産を行うようにする。
  • 工場全体でのものづくりを各工程(?)ごとにセル化し、フレキシブルに追加、入れ替えなどができるようにすることで、製造を取り巻く変化に対応する。
  • 眼鏡型ウェアラブルデバイスに作業ガイダンス(手の動きを動画(手のCG))で表示したり、作業結果に対してOKを出したりする。
  • ランニングシューズにセンサーをつけ、ランニングの情報を収集することでその人に会った靴を作ったり、健康状態のチェック、天候のアドバイスなど様々なサービスにつなげる。

パネルディスカッション:製造現場

ドイツや日本での取り組みについて5名の方から紹介やディスカッションが行われました。

AIの導入による効率化など検討しているものが多かったのですが、やはり、データクレンジング、データサイエンスのところでつまずいている状況でした。
(なぜかデータサイエンスという言葉を使わず、「データの前処理」などのまどろっこしい言い方をしてましたが)
つまり、IoTでデータはたくさん集まるがそれを役立てることができないということです。

私もネットワーク機器のログをAIで処理する取り組みをしていますが、同じようにデータサイエンスの事例をほとんど見つけることができず独自の手法の提案を作成中なので、このあたりは世界中が同じ状況なんだと実感できました。

パネルディスカッション:ヘルスケア

医療の話から始まったのでちょっと違うのかと思いましたが、医療のIoT化を進めることで医療とヘルスケアとの境界がなくなるという衝撃的な内容でした。

パネラーは5名のうち4名が現役の小児科医など医療を本業とする人で、そういった人がメディカルデータの収取や分析をし、学会発表のような資料を使って本格的に検証されていました。

高齢化と医師不足は日本だけでなく世界的な問題で、医師が自らIoT、AIを使いこなしデータサイエンスなどを行うことで製造業よりはるかに進んでいる印象でした。
(それでも同じところでつまずいてましたが)

IoTデバイスによるメディカルデータの収集

今でも体温や心拍数などでカロリー計算するウェアラブルデバイス(スマートウォッチ)はありますが、そういったデータを医療データとして扱うことで医療の問題が解消できるということです。

メディカルデータによるAI自動診断

メディカルデータを収集することでAIによる自動診断を行い、医師へのアドバイス情報として提供できます。
情報の品質が均一であれば病名の特定など、かなり正確な診断が出来るところまで来ているようです。

また、医師不足の解消のための遠隔診療にもメディカルデータが活用できるということでした。
以下のような実証実験が行われていました。

  • 加速度センサーによる行動データでウツ病の検知
  • ポーランドのビジネス事例(スマートウォッチでデータ収集&自動診断&遠隔診断のビジネス展開)
  • 医者頼りでない患者自身による病気対策

2025年にはどうなるかという質問に対して、パネラー全員同じ回答で、変化が加速しヘルスケアと医療が密接になり境界をなくしていくことで医療の問題を解決できると期待していました。

展示会

総会・シンポジウムと並行して各社のIoT製品の展示会が開かれていました。
目新しいものはあまりなかったのですが、いくつか面白いものがありましたので紹介します

エレックス工業

小指より小さいデバイスに7つのセンサーを付けたそうです。
どこまで小さくなるんでしょう。。。

コニカミノルタジャパン

海の監視カメラ映像をAIで解析し、離岸流の発生と流されている人を検知するシステムだそうです。
毎年、離岸流でなくなる人がニュースで報道されていますが、そういった犠牲がなくなるといいですね。

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